成田MXパークとかいう空中庭園

昔千葉の天王台に住んでいたのに、なぜ俺はこのコースに今の今まで訪れることが無かったんだろう？そりゃまぁ最初にKX250Fを買った時に408の半年無料券がついてきたからだろうけど。コースを一目見た時は「ああーこりゃ無理ですねぇ～」的な感想しか出て来なかったんだけど実はココロの奥底では「ま、無理に見えるけどバイク乗っちゃえば意外となんとかなるんでしょ」とちょっとワクワクしていたのだけど、結論から言えばそれは過信が引き起こすオロカな勘違いだった。一周目にロクに下見もせずにブラインドジャンプを飛んだ瞬間、「ちょ、地面がNAI？」と予想より滞空時間が1秒弱長くてなんとか着地はしたけどコースアウト寸前でバタバタする間もなくそこには崖みたいな下りが再び姿をあらわして―――。とまぁ酷い目にあったよもう。マディでもないのに「もしかしたら俺は一周も出来ないかもしれない」と思ったのは初めてだ。しかし恐怖心てのは薄れるもので4周くらいなら走れるようになるんだなぁこれが。走りこめば飛べるジャンプと飛べないジャンプと飛んじゃいけないジャンプの区別もつきそうだしなかなか走りごたえのあるコースなんだけどいかんせん今日は暑すぎる。
肉もあって天気も良いとなればノンアルコールビールでも十分に酔えるようなシチュエーションが出来上がってる。この日は結局合計で20周もしなかったんだけど、たまにはこんな日があってもいいじゃないか。ギャップを利用して7mくらい下から大坂を飛んでくる赤ゼッケンやら青ゼッケン、ニュートンが見てたらその場でりんごを握りつぶして発狂しそうな絵面だなぁ、神やら物理法則やらに喧嘩を売っているようにしか見えないよこの人達。

成田MXパークという場所

ここでは公式草を問わずレースが行われないのだと言う。観戦スポットもエンジョイアンドエキサイティングな作りになっていて、当然何か間違ったら落下して怪我さえするような場所もある。コースのレイアウトだって初心者向けとはお世辞にも言えない。しかしなんだろうなこのワクワクする場所は。『良識あるひとたちの遊び場』みたいな雰囲気がとても心地いいじゃないか。ここを管理している方を僕は存じ上げないけれど、敬意を払わずにはいられない。音量規制、砂埃対策、僕らの与り知らぬところで外との折衝はあるのかもしれない。けど昨今、残念なことに戦う相手が外だけとは限らない。結果過剰な安全対策で見る方も走る方も楽しみを奪われるコトが無いわけでもないだろう。それはモトクロスだけに限ったことじゃなくて、そこらへんの公園ひとつとってみても同じことが言える。そういう今の時代失われてしまった、もしくは失われつつある『楽しさ』みたいなものがここには沢山詰まっている気がする。当然裏を返せば危険も少なからずあるんだろうけど、それは遊び方次第というか、使う側の人間が間違えなければいいことじゃないか。それくらいの知恵が僕らには備わっているはずだろう。こんな場所がもっともっと増えるといいと思うけど、具体的に何をしたらいいのかはわからない。だから祈らずにはいられない。「理不尽な出来事が起こりませんように、この楽園みたいな場所が奪われませんように」って。