蹴飛ばされて 転がってく 空き缶とかわらない毎日

『今、走ってる人』と勝負するために

ここ1年くらいの自分のモトクロスライディングについて名前をつけるなら『データ駆動型ライディング』だと最近思いついた。これについては別に詳細を書いていきたいけど今回の本筋とは関係ない。ので、ざっくり説明すると

技術の向上によらない、既知情報から得られた最適選択をトレースすることによってタイムを出す走り

ということになる。
過去に自分のヘルメットマウントカメラで撮影した動画と現在の動画とを比較。はたまたyoutubeで検索してヒットした誰かの動画とを比較し、とにかくイケてない箇所を潰していく。去年GoPro7を購入して速度やGPS情報が分かるようになってからは「このセクションは最低でも58km/h出す」「このラインを走らされたときはコンマ6秒ロスするから使わない」とかそんなことばかりを考えていた。
この手法はモトクロスヴィレッジのような不確定要素の少ないコースでは特に効果が顕著に出る。2018年4月時点でのベストタイムが58.6、2018年6月にプラス2秒のレイアウト変更が入ったため1:00.6と仮定し、2019年2月には55.84を出したため1年弱で4.8秒ほど縮めることに成功している。
効果があるのは間違いないけど「それって楽しいの?」とか「それって正しいの?」という疑問は常に付きまとう。前者については「これはこれで楽しい」と答えるとして、後者の正しさについては自分でも疑念を抱いている。実際に去年のヒーローズ最終戦と今年のヒーローズ開幕戦はモトクロスヴィレッジでのレースだったが結果が出ていない。小さい怪我とかもあったが正直なところこの2戦については最低どちらかは勝つつもりでいたので少なからずショックはある。特に散水後のようなコンディションでのタイムの落ち幅が大きく思うような走りが出来ないっていうのはデータ駆動型ライディングの功罪のうちモロに罪にあたる。
長い目で見ればちゃんと技術を身につけて、正しいフォームを固めてってやったほうが最終的に得られる報酬は大きくなるのかもしれない。ただ俺はこの「長い目」とか「最終的に」といったものをこれっぽっちも信用していないしそんな時間もないと考えている。大人になってからの趣味競技は高校の部活のように決まった3年間で競い合う訳じゃない、例えば10年後、俺がついに自分の走りに辿り着いて「さぁ勝負だ!」っていう時まで相手が現役で居てくれる保証は無いし、それは自分も全く同じだということを実感を持って理解しているつもりだけどつい忘れそうになる。
『いつか、誰か』に勝ちたいわけじゃない。『今、走ってる人』と勝負がしたいし、そういう人たちに俺の敬意は払われている。
長年バイクに親しんできたわけでもなく、モータースポーツ的素養もなく、優れた身体能力を持っているわけでもない俺が『奴ら』に近づくための最短距離、それが今はデータ駆動型ライディングなのだ。